「信用金庫の力 人をつながく、地域を守る」を読んで
「信用金庫の力 人をつなぐ、地域を守る」
著者 吉原 毅氏 岩波ブックレット№850
信用金庫の原点や存在意義を再認識。信用金庫の前身である協同組合のルーツは、1844年のイギリスにあった。国内では、二宮尊徳の教えなどからの報徳社。相互扶助の精神は、道徳や良識を基本的な理念にしていることからも、相互扶助を謳う信用金庫という形態の強みはそこにある。
著者は城南信金の理事長。著書に「城南信用金庫の脱原発宣言」がある。
「信用金庫人は、困った人を見ると、何とかして助けてあげたいと思う温かい心の持ち主です。そして、ない知恵を絞り、人と人をつないで見事に問題を解決し、困っていた人たちから感謝されます」
この一文に信用金庫の人柄が出ている。人のお役に立ち、その輪を広げていくことで、地域の発展に貢献する。人のお役に立つために知恵を出すことが自分自身の成長にもつながる。これが信用金庫の醍醐味である。
小原鐵五郎の言葉
「銀行に成り下がるな」
世のため、人のためにつくす社会貢献企業。公共的使命を持った金融機関。
「富士山の秀麗な姿には誰しも目を奪われるが、白雪に覆われた気高い頂は、大きく裾野を引いた線があってこそそびえる。日本の経済もそれと同じで、大企業を富士の頂きとしたら、それを支える中小企業の広大な裾野があってこそ成り立つ。その大切な中小企業を支援するのが信用金庫であり、その役割は大きく、使命は重い」
小原鐵学には、しっかりとした信念がある。時に易きに流れそうになることもあるが、信用金庫人としての良識で物事を判断していきたい。
そして、この良識を磨き続けていくためにも、不易流行とういう言葉にもあるとおり、過去を知って、明確なビジョンを描いてく。
信用金庫の3つのビジョン
「中小企業の育成発展」
「豊かな国民生活の実現」
「地域社会繁栄への奉仕」
ビジョンは今も変わっていない。手段は様々なものがあるが、目的=あるべき姿は同一である。
信用金庫の独自性を再認識できた。